前回のエントリー、Davinci Resolveのチートシートとショートカット全録を書き切って、一服。なんか軽いものでも 手がけようと思って、ぼーっとWikipediaを眺めていたら、毎日お世話になってるAffinity関連の情報がスッカスカなのに気がつきました。

Wikipediaはかれこれ10年くらい編集してなかったけれど、久々にアカウントを作ってかきかき。だってもっと日本語圏ユーザが増えてほしいもんね、Affinityシリーズ。これでユーザが増えるかというとなんとも言えないけれど、ちゃんとしたソフトウェアはやっぱりWikipediaの情報もしっかりしている事が多いので、やっておいて損はないでしょう。

エディターが進化しまくっててビックリ

とりあえず項目が存在しないSerif社(Affinityシリーズの開発元)から着手。英語/ドイツ語/フランス語のみの存在し、日本語はない模様。

何も記述がないSerif EuropeのWikipediaページ

空っぽのページにMediaWiki記法で書いていくのかな、と思ったらいきなり翻訳エディターが出てきてビックリ。

Wikipediaの翻訳エディター

ぽちぽちクリックすると、Google翻訳で自動的に和文が生成されるじゃないですか。うへぇ、すげぇ!!

むかし僕がWikipediaを編集したときは、確か中学生の頃だった気がします。図書館のクソスペックPCでWikipediaのエディタページを開くとブラウザが固まって使い物にならないので、Terapadあたりの軽量テキストエディタでMediaWiki記法で原稿作成。ブラウザプレビューは最小限(プレビューウィンドウを開くだけで、3回に1回はブラウザが落ちる)。それから当時はGoogle翻訳よりエキサイト翻訳とそこから索引される英語辞書サービスを使っていたような……。動かすPC性能が昔とは雲泥の差とはいえ、あまりの体感の変化に時代を感じずにはいられません。ブラウザは落ちないどころかサクサク動くし、Google翻訳も違和感が少ない。流し読みだったら、もうこのまま記事公開しちゃってもバレないかもしれない。

翻訳の精度はかなり良いように感じる

とはいえ、さすがに色々と書き足したい事がありました。どうも翻訳エディターは他言語のページをそのまま訳する事に重点が置かれ、細かな修正はその後。という設計みたいです。書きかけの翻訳データを捨てて、ゼロからビジュアルエディタで書き直します。

とりあえず手動で書き終えたSerif EuropeのWikipediaページ

英語からそのまま持ってきた項目もありますが、とりあえずはこんな感じで良いでしょう。

会社概要を挿入。これもテンプレートからポチポチやるだけで良い。素晴らしい。

テンプレートから会社概要を作成

調べて気がついたのですが、Serif社って代表取締役の名前とかって非公表なんですかね。公式サイトをたどっても代表者名が書かれておらず、広報担当の名前があるのみ。むかし何かのインタビュー記事で小規模なアットホームな社風?と見聞きした気はしますが……。社員80人近くいるようですが、どんな会社なんでしょうね、Affinity開発者たちの日常。

会社のロゴ画像を入れていい感じの見栄えにしたいと思ったら、画像の権利についておどろおどろしい文言を突きつけられる。

Wikipediaは著作権にきびしい

まあ著作権はけっこう難しいし、Wikipediaのルールを知らずに画像を上げると痛い目に遭うだろうな、と容易に想像ができます。Serif社はロゴ画像をCC0等で公開してないので、しょうがないのでAffinity Designerでロゴ画像を生成。

Affinity開発元のロゴ画像をAffinityで作る

書体はGaramond Premierぽいし(厳密には違うだろうけれど)、簡単な枠線のみなのですぐに完了。しかしグラフィックデザインソフトを提供する会社が、こんなシンプルなロゴで良いんだろうか。

作ったは良いものの、アップロードでつまづく。何が悪いんだ。Wikimedia Commonsのマニュアルを読み込みます。

エディタではなくWikimedia Commonsの自分のページのアップローダに移動。今度はうまくいきそうな気配がしてきました。

ライセンスで足止めを食らう。適切なライセンスを調べるも、解説の文章量が多くて把握に時間を食う。他社のロゴマーク等を見比べるに{{PD-textlogo}}表記が最も適したライセンスだと判断し記述。無事アップロードされました、わーい!!

なんだかかっこ悪くなったロゴマーク

しかし今度は余白がおかしい。ただのSVGのはずなのに、なぜじゃ。
何度かアップロードを繰り返して、フォントをカーブ化(アウトライン化)してない事に気がつきました、てへぺろ。Serif社のロゴマークはシンプルすぎるベタ打ちの文字なので、気がつきませんでした。
今度こそ修正して、アップロード。

なんとかSerif EuropeのWikipediaページが完成

ようやく思い通りの表示となり、Serif Europe社のWikipedia日本語版ページが完成しました。めでたしめでたし。

Wikipediaの解説が少ない問題

ところで途中、もっと手軽に分かりやすくYouTubeで解説動画を出してる人はおらんのか? と思って検索しました。出てきたのは芸人YouTuberが「Wikipediaに書かれた自分のページの、ここが間違ってる!!」という企画動画ばかりで、肝心のWikipediaの書き方についての情報は皆無。逆にびっくりだよ、こんなに巨大なサイトなのに今時チュートリアル動画が皆無なんて!?

WikipediaのVTuberがいるらしい

もう少し探してみたら、Wikipedia系VTuberとやらを発見。宇喜多・W・要出さんとな。上がってる動画は3本。う、うーん。色々な調査をしながら、Wikipediaを書き進めていく生放送とか……まぁ需要……は、ないか? ないかもしれん。でもそういう人がいて良いと思うんですけれどね、図書館情報学とか学問の分野としては確立してて、大学学部や単位レベルでは充実しているわけですしね。

Wikipediaの公式の説明は、素晴らしく丁寧な解説であるのは、良いことだと思うんですよ。でも意外と外部サイトというか他メディアにおいて編集方法のレクチャーや体験談がないのは、ちょっと驚きでした。Wikipediaの外でありながら一番活発なコミュニティは5chのスレッドなのかもしれないけれど、ここは削除論争ばかりで気が滅入る。

Affinity Designer、Affinity Photo、Affinity Publisherを追記

さて気を取り直して本命へ。Affinityシリーズの加筆です。もうちょっと凝ったことをやってみよう。

機能の紹介項目でページ内の画像の折り返しを実装

まずページ内の画像の配置。折り返し文章に対応させる感じにstyleを追記していく。覚えれば楽なもんだけれど、覚えるまでが少し大変。いやはやMediaWiki記法ってこんなに表現力あるんですね。ページ内に画像が入るとチョット豪華な感じがしていいですね。

リリースノートに表組みを実装

次に表組み。Affinityシリーズを加筆しようと思った最大の理由がこれです。Affinityってバージョン履歴の情報が不足しているから、メジャーアップデート時に何がグレードアップしたのかをまとめておいた方が良いと思ったのです。

ところがここでドえらい苦労する。Affinityの公式サイトだと2019年6月以前の情報が消えてて、デッドリンクになっている。プレスリリースも冗長な表現で何を言いたいのか分からん。一番頼りになるのはApp Storeのアップデート情報の記述だけれど、これも2017年以前には遡れない。公式フォーラムから当時の情報を調べるもなんか充実度が足りないというか書き方が微妙。

なんと言いますか、Affinityシリーズってバージョンの振り方がかなり特殊でして、Affinity Engineのバージョン番号にすべて引っ張られる。PC版アップデートにあわせてiPad版もグレードアップするもんだから、検索性が実に悪い。Affinity Publisherのバージョン番号も1.7から始まっているし、理解しないと「このソフトはいきなりver1.7から出てきたけれど、その前は何だったんだ?」となる。

なんだかんだ散逸する情報をまとめあげたものの、iPad版においては情報がやや歯抜けになりました。僕はiPad版を使ってないものだから、どの機能がアップデートにより有意に進化したのか分かりません。詳しい人の加筆を求めたい。

完成したAffinityシリーズのWikipediaページのBefor and After

そんなわけで、やすみやすみ2~3日かけながらWikipediaのお作法を勉強しつつ、Serif EuropeAffinity DesignerAffinity PhotAffinity Publisherの記事を完成させました。他言語の記事よりも充実した内容となったし、個人的には満足しています。

僕はAffinityシリーズとAdobe社製ソフトの間には、それなりの機能差があり、多くの面においてAdobe社製が秀でていると思っています。でもAffinity特有の魅力があるのもまた事実。Wikipediaの記事を通してその魅力が伝われば良いなと考え、かつ百科事典たるべく中立性に注意して執筆し、記事クォリティの向上に努めました。この執筆意識は良い文章トレーニングになりました、Wikipedia執筆はライティング技術向上につながります。

この記事やWikipediaを読んだ誰かが、AffinityシリーズやWikipediaの執筆に興味を持ってくれたら嬉しいな?。